出汁を引く水で味は変わるのか?|日本料理の基本「出汁」と水の関係

query_builder 2026/08/08
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こちらの記事では、「出汁を引く水で味は変わるのか?」について、日本料理の基本である出汁と水の関係、そして料理人が大切にしている「見極め」についてご紹介いたします。

京都旅行をご予定の方や、日本料理をより深く楽しみたい方の参考になれば幸いです。

This article explores how water affects Japanese dashi, while sharing insights into Japanese cuisine and the chef’s perspective. We hope it helps you enjoy your visit to Kyoto even more.


出汁を引く水で、本当に味は変わるのか?

結論から言えば、変わります。

日本料理において、水は決して脇役ではありません。

昆布や鰹節など、どれだけ良い食材を使っていても、そこから旨味を引き出すための水が変われば、最終的な出汁の味わいにも違いが生まれます。

特に日本料理では、水そのものを大量に使って出汁を取るため、水質は料理の味に大きく関わる要素の一つです。


軟水と硬水で、出汁の出方は違う

日本の水は、一般的に欧米の多くの地域と比べて軟水が多いと言われています。

そして、日本料理の出汁には、比較的軟水が適しているとされています。

特に昆布出汁では、軟水の方が昆布の旨味成分を引き出しやすく、まろやかで繊細な味わいの出汁を作りやすいと考えられています。

一方、硬水ではミネラルの量が多いため、同じ昆布を使っても抽出される味わいや口当たりが変わります。

海外で日本料理を作る際に、「日本と同じ昆布を使っているのに、なぜか味が違う」と感じることがあるのも、水の違いが一つの理由になることがあります。


しかし、「何度で何分」というだけでは良い出汁にはならない

出汁については、科学的にも温度や時間、抽出方法などさまざまな研究や議論があります。

もちろん、科学的な知識は料理を安定させるうえで非常に重要です。

しかし、私自身は、それだけで出汁を決めることはできないと考えています。

例えば、

「お湯が沸いたから昆布を何分入れる」

「ぷくぷくしてきたから、ここから何分」

というように、温度や時間だけで機械的に決めてしまうことが、必ずしも美味しい出汁につながるわけではありません。

なぜなら、料理をする環境は毎回同じではないからです。


標高によっても、お湯の沸き方は変わる

意外に思われるかもしれませんが、標高も出汁を引く際の条件の一つです。

標高が高くなると気圧が低くなるため、水の沸点も低くなります。

つまり、海抜の低い場所と標高の高い場所では、同じように「沸いている」ように見えても、実際の水温は異なります。

高地では、海面付近よりも低い温度で水が沸騰します。

そのため、

「ぷくぷくしているから同じ温度だろう」

と考えて、同じ時間・同じ方法で昆布を扱えば、意図した出汁にならない可能性があります。

もちろん、標高が高いから良い、低いから悪いという話ではありません。

その場所の条件を理解し、その環境に合わせて調整することが大切なのです。


出汁を引く「場所」も料理の一部

京都で出汁を引くのと、標高の高い山間部で出汁を引くのとでは、条件が異なります。

水。

気圧。

気温。

湿度。

季節。

そして、その日に使う食材の状態。

すべてが少しずつ違います。

料理人にとって大切なのは、「いつも同じ数字にすること」だけではなく、その日の条件を見極めることだと考えています。


人間の味覚も、環境によって変わる

さらに、料理を食べるのは人間です。

同じ料理でも、暑い夏の日と寒い冬の日では、身体が欲する味わいは変わります。

汗をかいた日には、少し塩味を感じるものが美味しく感じられることがあります。

寒い日には、温かく、旨味のある出汁をより心地よく感じることもあります。

標高などの環境によって、人間の味覚や身体の感じ方にもわずかな変化が生じます。

だからこそ、料理人は食材だけを見るのではなく、その日の環境と、食べる人の状態まで考える必要があると私は考えています。


「その日に欲しい出汁」を考える

私が出汁を引くうえで一番大切にしているのは、

「その時、その場所で、人がどんな出汁を欲しているのか」

ということです。

同じ昆布、同じ鰹節、同じ水を使ったとしても、毎日まったく同じ出汁を作ればいいとは思っていません。

その日の気温。

湿度。

季節。

食材の状態。

そして、お客様が召し上がる料理全体の流れ。

そうしたものを考えながら、その日に最も美味しいと思える出汁を引く。

それが私にとっての料理です。


科学と経験、その両方が必要

もちろん、料理を科学的に考えることは大切です。

水質、温度、時間、抽出成分などを理解することで、料理の再現性を高めることができます。

しかし、最終的に料理を仕上げるのは人間です。

数字だけでは表現できない香りや味、食材の状態、気候、その日の身体の感覚があります。

科学的な知識を土台にしながら、最後は料理人自身が五感で確認する。

私は、それが日本料理における職人の役割の一つだと考えています。


出汁は、日本料理の「見えない主役」

出汁は、料理の上に目立って存在するものではありません。

しかし、お椀を口にした瞬間に感じる香り。

食材を噛んだときに広がる旨味。

料理を飲み込んだ後に残る余韻。

その一つ一つを支えているのが出汁です。

だからこそ、私は出汁を日本料理の基礎であり、料理人の考え方が最も表れる部分の一つだと思っています。

京都・西陣の「ますます増田」では、その日の季節、その日の食材、その日の環境と向き合いながら、一皿一皿を仕立てています。

美味しい料理を作るために、まず「何を使うか」だけではなく、「どのような環境で、どのように引くか」まで考える。

それが、私が大切にしている日本料理です。


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ますます増田

住所:京都府京都市上京区旧大宮通中立売上る庇町187−1

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