日本料理を食べるとき、料理の華やかさや旬の魚、野菜、出汁などに目が向きがちですが、私たちが大切にしているものの一つに、最後に召し上がっていただく「白ご飯」があります。
京都・西陣の日本料理店「ますます増田」では、栃木県のお米を使い、土鍋で炊いた炊き立ての白ご飯をご用意しています。
蓋を開けた瞬間に立ち上るお米の香り。
一粒一粒がふっくらと炊き上がったご飯。
噛むほどに感じる、お米そのものの甘み。
日本料理において、ご飯は決して脇役ではありません。
今回は、美味しいご飯を炊くために大切なことや、日本のお米にはどのような種類があるのか、そして「ますます増田」がなぜ栃木のお米を使っているのかについてお話しします。
美味しいご飯を炊くために大切なこと
「美味しいご飯」と聞くと、良いお米を使うことが一番大切だと思われるかもしれません。
もちろん、お米そのものの品質は非常に重要です。
しかし、料理人の立場からすると、お米だけでご飯の味が決まるわけではありません。
お米の品種。
お米の状態。
保存方法。
研ぎ方。
水加減。
浸水。
火加減。
蒸らし。
そして、炊き上がった後の扱い。
さまざまな要素が重なって、一杯のご飯になります。
同じお米を使っても、炊き方が変われば食感や香り、甘みの感じ方まで変わります。
お米を研ぐことも、美味しいご飯への第一歩
お米を炊く前に行う「研ぐ」という作業。
これは単にお米を洗っているだけではありません。
お米の表面に付着している米ぬかなどを取り除き、炊き上がったご飯の香りや食感を整えるための大切な工程です。
ただし、力を入れてゴシゴシ研げば良いというわけでもありません。
現在のお米は精米技術も向上しているため、昔と同じような強い研ぎ方をする必要はありません。
お米の状態を見ながら、余分なものを取り除きつつ、米粒を傷つけすぎないように扱うことが大切です。
最初の水を素早く捨てる理由
お米を研ぐときに意外と重要なのが、最初に加える水です。
乾いたお米は、最初に触れた水を比較的吸収しやすい性質があります。
そのため、最初の水がぬかの香りを含んだままお米に吸収されないよう、最初の水はできるだけ手早く捨てることが大切だとされています。
その後、適切に研ぎ、きれいな水で炊飯へと進みます。
こうした一つ一つの小さな工程が、炊き上がりの違いにつながります。
水がお米の味を左右する
ご飯の約60〜70%以上は水分です。
つまり、炊飯に使う水もご飯の味に大きく関係します。
日本料理では、出汁を引く水についても軟水・硬水の違いが重要ですが、同じようにご飯を炊くときにも水は大切です。
日本では比較的軟水の地域が多く、日本のお米を炊くのにも適しています。
そして京都の水も、京都の食文化を支えてきた大切な存在です。
お米と水。
どちらも日本料理を支える基本的な食材だと考えています。
お米にはどんな種類がある?
日本には非常に多くのお米の品種があります。
代表的なものとしては、
- コシヒカリ
- あきたこまち
- ひとめぼれ
- ななつぼし
- つや姫
- ゆめぴりか
- はえぬき
- とちぎの星
などがあります。
それぞれ、粘り、甘み、香り、粒の大きさ、硬さなどに違いがあります。
例えば、粘りの強いお米は、もっちりとした食感を楽しみやすく、粒感のあるお米は、一粒一粒の存在感を感じやすくなります。
どちらが「一番美味しい」ということではありません。
どの料理と合わせるのか、どのような食感を目指すのか。
そこによって、お米の選び方も変わります。
日本料理に合うご飯とは?
日本料理では、ご飯そのものだけを食べるわけではありません。
焼き物。
煮物。
お造り。
香の物。
味噌汁。
そして料理の味わい。
それらと一緒に食べることを考える必要があります。
例えば、甘みや粘りが強すぎるご飯では、料理とのバランスによっては重たく感じることがあります。
反対に、ほどよい粘りと粒感があり、噛むことでお米の甘みが出てくるご飯なら、料理の邪魔をせず、最後まで美味しく召し上がっていただけます。
だからこそ、私たちは「単純に一番高価なお米を使う」という考えではなく、料理との相性を考えてお米を選ぶことを大切にしています。
土鍋で炊くご飯の魅力
「ますます増田」では、土鍋を使って炊き立ての白ご飯をお出ししています。
土鍋で炊くご飯には、独特の魅力があります。
しっかりと熱を蓄えながら、お米全体に熱を伝えていく。
火加減を調整しながら、米粒の状態を見極める。
そして炊き上がった後には、しっかりと蒸らす。
こうして炊き上げたご飯は、ふっくらとした食感と、お米の香りを楽しんでいただけます。
もちろん、炊飯器だから美味しく炊けないということではありません。
現在の炊飯器には非常に優れたものもあります。
ただ、土鍋には、火の入り方や炊き上がりの状態を料理人自身が見極めながら仕上げる楽しさがあります。
「炊き立て」が美味しい理由
炊き立てのご飯には、独特の香りがあります。
蓋を開けた瞬間に立ち上がる湯気。
お米の甘い香り。
ふっくらとした粒。
そして、温かいうちに口に入れたときの食感。
ご飯は時間が経つにつれて水分が移動し、食感も少しずつ変化していきます。
だからこそ、「炊き立て」という瞬間には特別な美味しさがあります。
私たちは、その瞬間をお客様に楽しんでいただきたいと思っています。
栃木のお米を使う理由
「ますます増田」で使っているのは、栃木県のお米です。
これも、私たちの「京都×栃木」という考え方につながっています。
店主は栃木県日光の出身。
京都で料理を学び、京都・西陣で日本料理店を営んでいます。
京都には京都の素晴らしい食材があります。
そして、店主が生まれ育った栃木にも、素晴らしい食材があります。
だからこそ、料理を通して栃木の魅力も京都から伝えていきたい。
とちぎ和牛や日光の食材だけではなく、毎日の食卓に欠かせない「お米」も栃木から。
そうしたところにも、私たちの店らしさがあります。
日本人にとって「ご飯」は特別な存在
日本では、昔から米を中心とした食文化が育まれてきました。
「いただきます」と言って食事を始め、
「ごちそうさまでした」と言って食事を終える。
米は単なる炭水化物ではなく、日本の食文化、農業、季節、土地、人の営みと深くつながっています。
田んぼで米が育ち、収穫され、精米され、料理人の手によって炊かれ、食卓に並ぶ。
一杯の白ご飯にも、多くの人の仕事と自然の恵みが詰まっています。
だからこそ、私たちはご飯を「料理の最後に添えるもの」としてではなく、一つの料理として大切にしたいと考えています。
日本料理の最後に白ご飯を楽しむ
おまかせコースを召し上がっていただいた最後に、炊き立ての白ご飯をお出しする。
それまでのお料理を楽しんでいただいた後だからこそ、シンプルな白ご飯のおいしさを改めて感じていただけることがあります。
派手な料理ではありません。
しかし、
「ご飯がおいしい」
という感覚は、日本人にとってどこか懐かしく、そして海外からのお客様にとっては、日本の食文化を感じるきっかけになるかもしれません。
美味しいご飯は、お米・水・火・時間の組み合わせ
美味しいご飯を炊くために、特別な秘密が一つだけあるわけではありません。
良いお米を選ぶ。
適切に保存する。
丁寧に研ぐ。
水加減を合わせる。
しっかり浸水させる。
火加減を調整する。
炊き上がったら蒸らす。
そして、炊き立てを楽しむ。
こうした一つ一つの積み重ねが、一杯のご飯を作ります。
そして、季節やお米の状態によっても、最適な炊き方は少しずつ変わります。
料理人にとっては、そこも面白いところです。
京都・西陣「ますます増田」で味わう炊き立ての白ご飯
「ますます増田」では、京都・西陣の町家で、月替わりのおまかせ日本料理をご用意しています。
季節の魚、野菜、出汁、器、盛り付け。
そしてコースの最後には、栃木県のお米を使い、土鍋で炊き上げた炊き立ての白ご飯。
京都で日本料理を味わいながら、店主の故郷である栃木のお米も楽しんでいただく。
それも、私たちが大切にしている「京都×栃木」の一つの形です。
華やかな料理だけではなく、最後の一粒まで美味しく。
京都を訪れた際には、ぜひ日本料理とともに、日本人が昔から大切にしてきた「炊き立ての白ご飯」の美味しさも味わってみてください。
京都・西陣「ますます増田」で、季節の料理とともに、栃木のお米で炊き上げた土鍋の白ご飯をお楽しみいただければ幸いです。
ますます増田
住所:京都府京都市上京区旧大宮通中立売上る庇町187−1
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